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2017.08.01
日欧EPA その正体を暴く(下)
限界に達した日本農業 生活ができる対策こそ
河村洋二=全国農業問題研究会

                 


 食料品(農産物)の市場開放は、@チーズはTPPでも許さなかったカマンベールなどソフト系を2万〜3・1万トン輸入(ちなみに日本のチーズ生産量は6万トン)し16年目に無税枠とする、Aバター1・5万トン低関税枠にする、B豚肉482円/sを10年後50円/sに漸減させる、C牛肉38・5%関税を16年後9%に漸減させる、Dパスタ30円/sを11年目撤廃、Eチョコレート関税10%を11年目撤廃、Fワイン関税即時撤廃、ということになった。
 大枠合意の事実は、農業が工業の犠牲にされ、酪農家、畜産農家、果樹農家の生活がつぶされていくことを示している。


 政府は「攻めの農業」、「六次産業化」、「再生産可能となる支援」を行うという。しかし、大工業、輸出大企業優遇の貿易交渉の実態は、農林漁業を繰り返し犠牲にして成り立ってきた。農家・農業者はそのたびにそれまでの苦労を水泡に帰され、再挑戦を強制され、奮闘努力を求められた。
 しかし高齢化、後継者不足、耕作放棄地の拡大に見られるように日本農業はもはや限界に達している。
 「農林漁業はどこも同じだ」などと政府には言わせない。アメリカもヨーロッパも日本家の生活が再生産のできる対策(直接所得補償)こそ充実させるべきである。
 日欧EPA交渉は、終わったわけではない。今年末に向けてさらに細部の交渉が続けられ、日本、EU関係国の調印、国会承認、19年実施とされている。
 しかし、これらに関する情報開示は全くない。我々は秘密交渉を許さず、政府にしっかり情報開示をさせ、農業主権・食料安保を確立する立場から大枠合意をチェックしていかなければならない。
 また、大枠合意が日本農業や国民生活に及ぼす影響試算を農水省に1日も早く示させ、その対策を明らかにするよう求めていかねばならない。そして食料自給率の向上を目指し、これ以上の自由化を認めない立場から、日欧EPA を見直す世論を大きくしていかなければならない。




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