野党共闘を推進する市民グループ「99%のための経済政策フォーラム」は12月21日、「安倍政権に対抗する経済政策」をテーマに衆院議員会館で立命館大学の松尾匡教授を招いて政策勉強会を開き、野党各党の国会議員10人をはじめ230人が参加した。
平日の午前中にもかかわらず盛況だったのは、生活刺激的な政策提言をしてきた松尾氏への関心の高さを示している。松尾さんは大要次のように述べた。
新潟、沖縄、京都などの各種選挙から、小泉改革と長期不況で苦しめられた民衆の期待に応える経済公約を打ち出せたか否かが野党勝利の鍵を握ったことがわかる。
若者は「右傾化」していない。雇用不安で野党より安倍自民党に投じているだけだ。小泉改革への反発で成立した民主党政権が、消費増税をして期待に反して挫折。その後も民主党系は「財政赤字はダメ」という態度を続け、安倍政権の「景気作戦」に負けてきた。
安倍政権の財政出動で人々に金が回ったのでなく、新自由主義政策も採っているが、人々は少なくとも民主党政権時代より景気は良くなったと感じている。野党は「護憲」で嫌われているのでなく、「脱成長」「倹約」イメージが生活苦の人々に嫌われている。これでは、安倍改憲を阻止できない。
欧米では格差と貧困のなかで右翼が急伸しているが、左翼も「財政危機論は新自由主義のプロパガンダだ。企業・富裕層から財源を取り、緩和マネーも使い、雇用拡大・公的サービス拡充を」と主張し伸びている。
欧米左翼にならい、日本で求められるのは「安倍消費税増税断固粉砕」の大運動だ。「消費増税で購買力を奪うのでなく、財政出動で雇用拡大・最賃引き上げをせよ! 法人税増税・税累進性強化を!」と運動を大きく盛り上げよう。1930年代に、大胆な公共事業で「仕事とパン」を公約したヒトラーに左翼が負けたことを忘れないでほしい。
質疑では「財政赤字は悪いことではないのか」「インフレにならないか」「消費税を上げなくても本当に大丈夫なのか」などの質問が出た。松尾さんは、「国の財政と家計を同じように考えないで」として、「インフレの弊害は大企業の負担で対応する」などと答えていた。
主催者の「フォーラム」は今後、元静岡大学教授で税理士の湖東京至さん、社会保障が専門で鹿児島大教授の伊藤周平さんを招き勉強会を続ける。
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