6月3日、金融審議会の報告書が公表された。「高齢夫婦・無職世帯では毎月の赤字額は5万円」「老後資金2000万円必要」との指摘が安倍内閣の逆鱗に触れた。
ところがこの報告書、読んでみるとすがすがしいほど正直で、内閣府などが提出する忖度まみれの会議資料や白書類にはウンザリしてきた身としては拍手喝采を送りたい。
報告書の委員、参考人名簿には20名以上が名を連ね、その中に読売新聞論説副委員長の名も。またオブザーバーには10以上の政官財の省庁や団体名が見られる。そして昨年9月から12回も議論してきたとある。
本報告書の見所は「1現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)」にある。そこでの指摘を以下に列挙してみよう。
■健康寿命は男72歳、女75歳だから平均寿命との差、9〜12年は日常生活になんらかの制限が加わる可能性あり。
■単身世帯もその割合を急速に伸ばしている。
■持ち家比率も60歳未満は低下が著しい。
■認知症の人は2025年には700万人に。軽度の人は含まず。
■近年各世代の収入は低下傾向で、税・保険料の負担も年々増加。
■若年層ではフリーランスも増加。退職金給付面で不利。
■退職金制度のない企業の割合は20%。
■定年退職者の退職金は97年比4割減。
■65歳の金融資産保有状況は夫婦世帯、男性単身、女性単身のそれぞれで2252万円、1552万円、1506万円。
■不足額月5万円が20年続くと1300万円、30年で2000万円。介護費用や住宅リフォーム費用は別途必要。
等々、コマメな図入りで説得力抜群だ。
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