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  4. 2019.07.30
隠す、ごまかす
歴史の書きかえ
 
 パソコンをいじっていると、自民党の参院選向け宣伝パンフレットがいきなり飛び込んできた。

 開いてみるとアベノミクスの自画自賛の記事が満載。例えば「国民総所得(GNI。名目)は過去最高」とある。民主党政権末期の2012年10 〜12月の年換算額が506・8兆円だったのに比し、本年1〜3月のそれが573・4兆円へと66・6兆円増加したとある。統計疑惑には無論、一言も触れていない。

 第一生命経済研の永濱利廣氏によれば12年第4四半期と18年第3四半期を比較すると、同数値は名目で60兆円増えているが雇用者報酬は30兆円しか増えていない。実質でみると17兆円のみだ。

 自民党パンフにある12年比18年の「就業者数」は384万人増という数値を信じれば、一人あたり実質賃金は低下しているはずだ。事実、厚労省発表の実質賃金指数をみても、本年1〜3月はマイナスだ。

 明石順平弁護士が情報労連レポート5月号に寄せた記事によると安倍政権は基幹統計の手法について53件も見直し、うち38件がGDPに影響するものだったという。そして、にもかかわらず14〜16年にかけ実質民間最終消費は戦後初の3年連続でのマイナス。

 熊倉正修明学大教授の近著『日本のマクロ経済政策』(岩波新書)は「国民を欺く政府」という項を起こし、安倍政権が15年になって「名目GDP600兆円達成」を打ち出したのは、当初の「名目で年率3%、実質で2%の経済成長」という目標が一向に達成されないためであり、GDP統計の改定が16年に予定されていたからである、としている。正解でしょう。

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