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2012.2.21
アルゼンチンの反発
英キャメロン政権による南大西洋の軍事化

 
 2月10日、アルゼンチンのティメルマン外相がニューヨーク国連本部で記者会見し、同国近海に英国が核弾頭を装備した最新型の原潜を派遣、中南米域内での核兵器保持を禁止したトラテロルコ条約の違反だと糾弾した。英政府は現在、最新の駆逐艦を同海域に展開中で、英国連大使もこれを否定しなかった。

 南大西洋上、南極近くに大小二百の島々から成る英名フォークランド諸島、アルゼンチン名マルビナス諸島がある。面積は東京都の6倍弱で人口は約3千人、寒冷多雨気候で樹木は育たないが、漁場が豊かなところだ。1982年4月から6月、両国は数万人の兵力を投入し、領有権を巡って軍事衝突した。今年は30周年である。
 国連は対話解決を求める決議を40回出しているが、現在、島は住民が追い出された1833年以来の英占領下にある。英政府は住民保護を理由に、石油資源と南極進出への戦略的重要性から主権を主張している。英石油会社は国連決議を無視して、2010年から海底ドリル作業を開始、現在6社が探査ライセンスを保持している。今年に入って英空軍所属のウィリアム王子が捜索救難ヘリのパイロットとして軍務についていることも緊張を高めている。

 一方で、米州以外の国家による領土侵攻は全米州諸国への攻撃とみなす「米州相互援助条約(リオ条約)」第3条にもかかわらず、米国が先の戦争で英を支持したことから、主権問題は西半球諸国全体に波及している。ブラジル・チリ・ウルグアイなどメルコスル諸国がアルゼンチン支持を批准し、2月5日には第11回ALBA諸国首脳会議(9か国)もアルゼンチン支持を表明、平和解決を求める特別決議を出した。

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