3月11日未明、南部カンダハル州の2か所の村で民家が襲撃され、就寝中のこども9人と女性を含むアフガン民間人17人が殺された。米NATO軍当局はロバート・ベイルズ二等軍曹一人の犯行と発表したが、アフガン国会議員調査団は米兵約20人が関与していたと発表、攻撃の最中に複数のヘリコプターが上空からチャフを投下、地上の行動を支援していたという目撃者情報を明らかにした。
カルザイ大統領は米軍兵士を基地内にとどめておくよう要求し、国会は政府に2014年以降の二国間の戦略的パートナーシップ協定の交渉を打ち切るよう要請した。カタールで米国と和平交渉を行っているタリバン勢力も交渉中断を宣言した。14日には急きょ、パネッタ米国防長官が同州を訪問し、地元指導者とも会談した。
23日、アフガン駐留米軍はベイルズ二等軍曹を殺人と殺人未遂の容疑で軍事法廷に訴追したが、アフガン国会調査団は被告を米国法ではなく、当地での公開裁判で裁くよう要求しており、事件は法律問題より政治問題として扱われることになる。
米政府はこの乱射事件を「例外的できごと」としてとらえ、死者一人当たり5万ドル、負傷者1万1千ドルの支払いで「沈黙」を買うつもりだ。しかし、2月下旬にはバグラム刑務所で聖典コーランの焼き捨てが発覚し、外国軍に対する国民の怒りは高まるばかりで、調査団責任者は「外国軍は占領軍」と規定することになると述べている。
治安権限移譲時期をめぐり、オバマ政権は14年末、カルザイ政権は13年末と主張は食い違い、米軍展開についても、撤退時期を早めたいホワイトハウスと現戦略を維持するペンタゴンに不一致がある。
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