韓国のソウルで3月26・27日の2日間、第2回核セキュリティ・サミットが開かれ、53か国・4国際機関の代表が参加、NPT(=核不拡散条約)未加入国であるインド・パキスタン・イスラエルも出席した。第1回同サミットはワシントンで2010年4月にオバマ大統領のイニシアティブで開催された。
背景に9・11以降、国際的に核物質・放射性物質を利用した非国家主体によるテロのリスクが懸念され、これを未然に防ぐ対策(セキュリティ)が課題になってきたことがある。今回サミットは東京電力福島第一原発事故から1年目という時期であり、前回の合意事項の検証・今後の方向性について議論するとともに原子力安全分野に関心が集中した。
前文・末文と13項目から成る「ソウル・コミュニケ」が発表され、今後の持続的努力・参加国の拡大・IAEA(=国際原子力機関)の中心的役割・核物質/放射線源の国家管理と国際協力を再確認した。また核鑑識・核セキュリティ文化・情報セキュリティの重要性、非国家主体の悪意ある取得・使用を阻止する必要性を認識した。高濃縮ウラン(HEU)の民事利用については最小化を強調した。次回は14年、オランダで開催される。
日本からは野田首相が出席、「原子力規制庁」など新設機関の設置、武装治安要員の増強など人的警備体制の強化、IAEAへの拠出について演説した。政府は輸送のセキュリティについて「バスケット方式」の取り組みについて「リード国」を務めると提案した。
「核兵器のない世界」「脱原発」を実現しても、大量の高濃度の核廃棄物を管理・処理しなければならず、同時に「核拡散」「核物質の紛失」などの危険性も伴うことになる。
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