4月19日、インド政府は長距離弾道ミサイル「アグニ5」(射程5000キロ)の発射実験を行い、成功したと発表した。核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、インド洋上の標的に命中した。射程内に日本全域が含まれている。続いて25日、パキスタン政府は中距離弾道ミサイル「シャヒーン1A」の発射実験に成功したと発表した。射程は公表されなかったが最大3000キロで、核弾頭・通常弾頭が搭載可能である。パキスタンは今年3月5日にも核弾頭搭載可能な短距離ミサイル「アブダリ」の発射実験を行った。
印パ両国は1998年5月11、13日及び同月28、30日と相次いで核実験を行った。国連安保理は6月6日、満場一致で決議1172号を採択、両国に核不拡散体制の礎としてのNPTに遅滞なく、無条件に加入することを求めると同時に「核開発計画の中止」と「核兵器運搬可能な弾道ミサイルの開発を止める」よう決議した。今回の発射実験は両国ともに国連決議違反である。
朝鮮民主主義人民共和国は4月13日、銀河3号ロケットによる地球観測衛星光明星3号の打ち上げを行ったが、国連安保理は16日、議長声明で非難した。日本政府は「ミサイル発射の事態」に備えた軍事行動を展開した。4月の一連の衛星打ち上げ・ミサイル発射実験について、「国際社会」とメディア・専門家、安保理は非常に異なった反応を見せた。
米国はインドとの原子力協力協定により使用済み核燃料を販売、核技術を移転し、カナダはウランを輸出している。決議1172は国連の全加盟国に「印パの核兵器計画に資する設備・物質・関連技術の輸出を禁止」している。
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