今年のG8サミットは5月18〜19日、米キャンプデービッドで開催され、日本から野田首相が出席した。39項目からなる「キャンプデービッド宣言」が採択され、「政治安全保障問題」に「シリア、イラン、朝鮮民主主義人民共和国、ミャンマー」の項目(第30、31、32および34項)が策定され、先進諸国は政策を一致させた。当該国の視点に立てばいずれも「内政干渉」である。
シリアでは首都のレストランで爆発(22日)、ホムズおよび近郊の町ホウラ(25日)で子ども30余人を含む住民100人以上が犠牲になった。国立病院が攻撃を受け、さらに民家が襲撃された。シリア政府は「テログループが背後にいる」と発表、虐殺関与を否定した。
一方、反アサド政権の武装組織「自由シリア軍」は「国連安保理が緊急措置をとらない限り、停戦案を破棄する」として、事態は内戦状態に入ろうとしている。安保理は27日、緊急会合を開き、政府側の攻撃を非難する声明(拘束力はない)を承認した。しかし、ロシア外務省は同日、犠牲者の死因は砲撃ではないと発表し、調査を求めた。
一方、イラン情勢も緊迫している。23〜24日、バグダッドで「イラン核問題」について安保理常任理事国+ドイツを加えた6カ国とイラン政府が協議を行ったが、ウラン濃縮問題と同国産原油禁輸措置および金融制裁について合意できず、6月18〜19日のモスクワ会談に持ち越された。
イスラエルはかねてからイランの原子力発電施設に先制攻撃を仕掛けると公表しており、パネッタ米国防長官は「攻撃の準備はできている」と明言している。IAEA
(国際原子力機関)も独立性は後退、地位が落ちている。
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