地球上の海上と陸上でミサイル試射が頻繁に行われている。5月9日、米ミサイル防衛庁(MDA)と海軍はハワイ・カウアイ島のミサイル発射基地から「おとりミサイル」を発射、太平洋上に配備した巡洋艦レイク・エリー(イージス艦)がこれを探知、追尾し、迎撃ミサイルSM‐3を発射して破壊、成功したと発表した。このテストは「FTM―16イベント2a」と名称され、イージス艦BMD/SM‐3の能力を向上させたとしている。
南アジアではパキスタンが4月25日の中距離弾道ミサイル「シャーン1A」の発射実験に続き、5月10日、29日、31日、6月5日と核弾頭搭載可能な巡航ミサイル「ハトフ」を発射し、地対地・空対地の実験を連続して行った。インドも4月19日に長距離弾道ミサイル実験、26日には情報衛星を打ち上げた。
国連安保理で「シリアへの軍事介入を承認しない」とロシアのラブロフ外相が強調する中の6月7日、ロシア連邦戦略ミサイル軍は、南部カプスチン・ヤール発射場から「トーポリ」型大陸間弾道弾(ICBM)2基を発射、カザフスタンの標的に命中させ、成功したと発表した。トーポリ型ICBMは発射・飛行・大気圏再突入の際に迎撃されない能力があるという。中東諸国やキプロスなどでは人々が発射から数時間後「飛行物体」を目撃した。
欧州では01年にブッシュ政権が「米ソABM条約」から離脱、米は「イランと北朝鮮の脅威」を理由にミサイル防衛(MD)システムの配備政策を進め、旧ワルシャワ条約機構諸国にMD網を張り巡らせてきている。ドイツ統一以後のNATOの東方進出で法的保証措置は破られている。
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