欧州債務危機で注目を浴びてきたギリシャで6月17日、再選挙が行われ、先回5月6日投票の総選挙で後退した以前の「二大政党」が復帰した。定数300議席中、新民主主義党(ND)が129議席、全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が33議席獲得し、過半数を制した。
欧州連合(EU)財務相会合は緊縮策の推進・実行に期待を表明した。新政権でEUとIMFは「財政再建策」の主導権を維持し、この国の5年間のマイナス経済成長・失業率23%・貧困率約4割・自殺の増大はそのまま残して、ユーロ圏の大銀行、大企業を支援することになる。
ギリシャは30年間のEU加盟で、もともと後進的であった農業基盤が脆弱化し、産業もより進んだ域内工業国からの安価な輸入品で荒廃した。さらにNATO加盟により、その目標達成のため国家予算の15%を軍事費に支出。過去の政権が蓄積した公的債務の相当部分が「違法」であるが、今後、国民は返済のための収奪策にさらされる。ゼネストやデモは終わらない。
EUはマーストリヒト条約が新自由主義経済路線を追求する一方、NATO新戦略概念で軍拡路線を進めている。さらに各国の労働者階級に対する共通戦略を持ち、賃金引き下げ、レイオフ解禁、団体交渉権廃止、社会政策後退など労働権・社会権を破壊している。
統合欧州は平等な「諸国民」の連合ではなく、資本家連合を通じて実現され、諸国民に犠牲を強いてきた。債務危機はポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランドにも広がっており、青年は「2人に1人」が失業状態にある。オランダ、ドイツも「4人に1人が非正規雇用」だ。欧州労働者は犠牲を強いられながらも抗議を続けるだろう。
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