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2012. 7. 03
エジプト
イスラム派新大統領で混乱続く


 
 エジプト選挙管理委員会は6月24日、大統領決選投票の結果、得票率51・73%で約1300万票を獲得したムハンマド・モルシ候補が勝利したと発表した。次期大統領はムスリム同胞団・自由公正党出身であるが、両組織から脱退、国民の統一を訴えた。投票率は51%、シャフィーク対立候補との差は88万票であった。


 同国では昨年のムバラク政権退陣後は軍最高評議会が実権を掌握し、軍指揮権、宣戦布告の可否、予算執行権、憲法裁判所に対する権限をもっており、6月中旬には昨年末から今年1月までの人民議会(定数508)選挙制度の不備から議席の3分の1の当選を無効にする判決を下したばかりである。新大統領はこの条件下での就任となり、対米・対イスラエル政策で新政権がどう進むかが焦点となる。

 ムスリム同胞団は1920年代に西欧植民地主義からの独立とイスラム文化の復興を掲げて結成され、エジプトではナセルの指導する民族主義運動とともに王政打倒に参加したが、54年にナセル暗殺未遂事件に関与した。70年代以降、サダト政権下で組織を再編し、さまざまな思想潮流を生み、一部はムジャヒディンとしてアフガニスタンでソ連軍と戦った。


 同胞団はシリアやクウェートでも結成され、前者ではスンナ派の支持を受け、バアス党指導者の暗殺・誘拐・政府施設への破壊活動を行い、後者では王室派である。エジプト同胞団は91年湾岸戦争でイラクか、反イラクかで分裂し、ムバラク退陣後は軍評議会と協力してきた。


 昨年以来の不安定なエジプトがリビアへのNATO攻撃を有利に進めたように、モルシ新政権の今後の展開はシリアを含めた中東情勢全般に影響する。

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