6月28日、モンゴルで国民大会議(国会、定数76)の総選挙が行われ、野党・民主党が31議席を獲得したが、過半数を制することはできず、与党・人民党は42議席から27議席へ減らした。二大政党批判を受けた人民革命党(公正選挙連合)は現有3議席から11議席へ増やした。最低得票率に達しなかった選挙区では再投票になる。
モンゴルは民族解放闘争から社会主義への道を進み、1924年にモンゴル人民共和国となり、旧ソ連と強い関係を持ってきたが、90年代初めに一党制を放棄、「モンゴル国」と改称して資本主義市場経済の道へ進んだ。石油、石炭、電力の自由化などIMF、世銀、アジア開銀などの提言通りに経済が運営され、貧富の格差が拡大、とりわけ牧畜民は厳しい生活条件に直面した。
92年の選挙以来、人民革命党(10年11月に人民党と改称)と民主連合=民主党が交代して政権を担ってきたが、汚職がはびこり、今回の総選挙前にも政府が人民革命党の6名に立候補を不許可にするなど「公正な選挙ではない」と批判が出ていた。
モンゴルは日本の4倍の国土に人口は300万弱、石炭、ウラン、レアアースなどの資源大国。世界の大企業が進出し、GDPに占める鉱工業の割合は約3割に達している。97年に「鉱物資源法」が制定され、外資の探鉱ブームが起きた。
しかし、「鉱物資源を国民のものへ」という国民運動に押され、06年に改定し、金・銅鉱石には超過利潤税 ( 68%)を導入、戦略重要鉱床には国家参入比率を大きく増加させた。日本は、同国にとって90年以来、最大の経済援助国であり、官民一体で「鉱山・重工業開発方針」に注目している。
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