ベネズエラ大統領選挙が10月7日の投票日をめざして現職のチャベス大統領(ベネズエラ社会主義統一党=PSUV)とエンリケ・カプリレス候補(民主団結会議=MUD)との間で争われている。政権側は新自由主義に反対し、「ボリーバル社会主義」の深化を訴え、与党、共産党(PCV)、みんなのための祖国(PPT)やPODEMOSなどの大衆団体が支持している。
一方、カプリレス側は国営石油公社(PDVSA)の経済活動の国家管理を批判し、私的所有を強調、外交政策転換を掲げている。産油国として「石油収入」を国民および地域統合過程で諸国民に配分するか、私的所有にとどめるかで違いが際立っている。
1999年2月のチャベス政権の成立以来13年、この間に炭化水素法、土地・農村開発法、労働法が施行され、絶対的貧困と貧困層が大きく減少、失業率は8・5% (10年)まで下がった。02年の経団連クーデター、PDVSAサボタージュ、大統領罷免選挙など政権不安定情勢を克服しつつ、現政権は米主導自由貿易路線に反対し、近隣諸国との間にエネルギー・金融分野で協力関係を築いてきた。また、地域政治情勢も大きく変化した。
しかし、09年ホンジュラス、今年6月のパラグアイではクーデターで政権が転覆され、ボリビア、パラグアイ国境に米軍基地建設計画など米政府の公然とした内政干渉政策が露呈している。
カプリレス候補は過激なカトリック団体にかつて所属していたことがあり、イスラエルとの関係が深いといわれる。各種の世論調査機関が二人の候補の予想得票差を発表しているが、結果は一国だけでなく、地域全体に影響する。
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