6月22日未明、ロシアとウクライナの国境付近で人道援助物資を輸送していたトラック隊が銃撃された。東部スリャビャンスク市では鉄道駅や大聖堂が砲撃された。
14日、キエフ市内ではロシア大使館が襲撃される一方、ルガンスクの空港ではウクライナ軍輸送機が撃墜され、兵士・乗組員が全員死亡した。ウクライナの国境警備兵がロシアに難民認定を求める事件も発生した。
7日に就任したばかりのポロシェンコ新大統領は「和平計画」を発表したが、戦闘は止まず、死傷者数が増加している。
この現状下でロシア、ウクライナ間のガス供給問題が暗礁に乗り上げている。ウクライナの滞納金が約20億ドルに達しており、17日、ガスプロム社とウクライナ政府の交渉は決裂。夏の終わりから天然ガスの需要が高まり、ウクライナのパイプラインを通じて供給される欧州各国は影響を受ける。
ガスプロム社は仏とは1千立方メートル当たり393・7ドルの契約、ウクライナ政府に365ドルを提起したが、ウクライナ政府は265ドルを主張。ガスプロム社はウクライナ新政権が米政府の意向に沿い、ロシア側に妥協しないと見ている。北方のノルド・ストリームのパイプライン利用率を高め、15年からは南方のサウス・ストリームを使う方針を出し、前払い制度の導入を発表した。
戦闘行動がウクライナ正規軍によるものなのか、右派の武装集団なのかは明確でない。しかし、新政権が東部を実効支配できていない事実はウクライナのユーゴ化を懸念させている。
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