NATO首脳会議が9月4?5日、英ウェールズのニューポートで60カ国以上から元首を含め4000人が参加して開かれ、「ウェールズ宣言」が採択された。北米と欧州の大西洋同盟強化が前面に出され、集団防衛の強化、GDPの2%まで軍事予算の増大、世界各地に72時間以内に展開できる速攻部隊の設立などに合意した。
ウクライナ情勢と「イスラム国」・アフガニスタン問題が中心課題となり、バルト三国・東欧での恒常的軍事演習の実施とインフラ整備などの対ロシア政策が進められる。ラスムセン事務総長は「今日、よりよく準備態勢が整うよう決定した」と述べ、NATOが治外法権的に世界のどこでも作戦可能、攻撃態勢を構えることになると強調した。
バルト三国、ポーランド、ルーマニアは領土内にNATO軍のプレゼンスを要請、ブルガリアは3カ所の基地提供を申し出た。エストニアはサイバー戦の演習地として合意した。英、独はウクライナ軍強化のために近代化を進め、NATOは1500万ユーロの財政支援をする。さらにグルジア、モルドバ、モンテネグロの加盟を急ぎ、ロシア包囲を進める方針だ。
9月16〜26日にはポーランド、ウクライナ国境地帯でラピッド・トライデント演習が行われる。中東政策では豪・トルコなどを含めて対「イスラム国」連合をいっそう拡大していく方向だ。
米国の「欧州回帰」と「アジア・リバランス政策」と連携し、NATOはその役割を欧州防衛から積極的なグローバルな紛争当事者に転換する。
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