10月12日実施のボリビア大統領選挙で現職のモラレス大統領(社会主義運動=MAS)が61・04%で圧勝、第2位の民主主義統一24・49%、第3位キリスト教民主党9・07%の候補を大きく引き離した。05年12月の初当選から3期目、任期は15年から20年までだ。
モラレス氏は先住民アイマラの貧農出身、水・天然資源の民営化反対の社会運動を通じて97年に下院議員に選出され、エリート層出身ではない新しい政治指導者として信頼を勝ち得てきた。今回、同時に行われた議会選挙でもMASが勝利、上院36議席中24、下院130議席中80議席を獲得した。
06年のモラレス政権の誕生で国民経済は大きく改善された。西半球の最貧国だった同国で経済成長率はこの8年間、年平均5%、05年に39%だった極貧層は13年に18%にまで下がった。炭化水素資源の国有化で過去に多国籍企業が生産総額の82%、国家が18%であった石油・ガス収入の配分を逆転させ、歴史的転換を実現した。
医療・住宅やこども奨学金制度、年金制度など社会政策の優先的実施、最低賃金の上昇を通じてMASの政治的影響力は全国に拡がった。反政府運動の中心だった豊かな東部州の企業家層は分解し始めている。
国の正式名称を「ボリビア多民族国」と変更して先住民の諸権利を擁護、文化の統合運動とともに大陸全体の先住民運動を変革してきている。
野党勢力が敗北を認めたとはいえ、いまだ外国企業が国内生産の大半を占めている。困難の中、変革は続く。
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