カナダでは10月20日、モントリオール近郊でショッピング・センターを歩いていたカナダ兵2人が自動車にはねられ、1人が死亡、1人が負傷する事故が起きた。車を運転していた25歳の男は追跡後、警察に射殺された。
22日には首都で32歳の男が国立戦争記念碑を警備中の複数の兵士を撃ち、近くの車を奪って国会議事堂に乗り付け、銃を乱射した。男は議事堂内で射殺された。いずれもカナダ議会が米軍主導の「イスラム国」空爆への参加を決めた直後に起きた。
警察当局は前者の事件の犯人をトルコに渡航希望という理由から7月に身柄を拘束し、旅券を没収していた。公安担当相は「明らかにテロの思想と結びついている」としており、後者についてはハーパー首相が「議会乱射はテロ」と断定し、「決してたじろがない」とテロとの戦いを強調した。
メディアは2つの事件の犯人像を「イスラムへ改宗」「中東」と描いて「テロ」と報道している。市民の間には人種差別感とイスラム排斥主義が拡がっている。
しかし、市民的自由を擁護する人々の間ではこの二人が麻薬常用者で精神的な病気を抱えており、一人はホームレス(銃をどのように入手したか)であることから「犯罪をテロとする」政権の意図、カナダ人国籍剥奪の威嚇と移動の自由の制限など「危険思想を持つ者」の市民的自由の蹂躙を警戒している。現政権が政府に反対する思想を理由に市民を逮捕できる権限を当局に与える新たな法制化を進めようとしている中、「テロ戦争」が利用されている。
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