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2014.11.11

カダフィ暗殺後のリビア
暴力が支配



 2011年3月19日から10月31日までの7カ月間に米・NATOは空襲1万回、爆弾・ミサイル4万発をリビア国民に浴びせ、10月20日には当時の最高指導者カダフィ大佐を殺害した。以来3年、同国は混乱の中にある。アムネスティ・インターナショナルの10月の報告によれば、誘拐・拷問・その他の人権侵害が日常事態になっている。


 旧政権下では1人当たりのGDPはアフリカで最高位、平均寿命は最長、首都トリポリには「アフリカ投資銀行」の本部があり、さらに「アフリカ中央銀行」「アフリカ通貨基金」などの金融機関を支援し、地域諸国の財政的自治を実現しようとしていた。「国民保護(国連決議1973)」を目的として開始された空爆は政権を転覆させ、多くの国民に国内・国外避難を余儀なくさせている。地中海を渡る「ボート・ピープル」は今年、11年の2倍、年末までに20万人に達すると推定されている。


 首都は二重権力状態だ。現政権に並行して「リビアの夜明け」グループが新政権を樹立、東部のベンガジでは過激な「アンサール・アル・シャリア(AS)」など複数の武装組織が対立し、エジプトやアラブ首長国連邦(UAE)の戦闘機が空爆を行っていると報道されている。カダフィ以後の臨時政体は無数の武装集団の競合に苦慮している。


 東部の油田、石油施設、輸出港では労働者のストや各組織の衝突、パイプラインの閉鎖が続く。その一方で密輸も公然と行われ、国際市場でリビア産原油が取引されている。

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