第69国連総会第三委員会は11月18日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対し、その人権状況を国際刑事裁判所(ICC)へ付託の検討を含む行動をとるよう国連安保理に促す決議を採択した。賛成は文面を共同提出した日本とEU諸国など111カ国、反対は中国・ロシア・ベネズエラ・ベトナムなど19カ国、棄権は55カ国であった。
投票に先立ちキューバがICC付託についての文面の削除を求める提案をしたが、却下された。朝鮮外務省スポークスマンは「反共和国決議の強行という重大な政治的挑発」として全面的に糾弾すると発表した。採決は今年2月に公表された「調査報告書」に基づいて行われたが、資料は「脱北者」の証言をもとに当事国を訪問することもなく作成された。
また、賛成にまわった国の中には経済援助を中止するとの恫喝を米・日当局から受けていた国が存在した。同日、イラン及びシリアに対しても「人権状況」に関する決議が採択された。こうした人権決議を根拠に制裁が行われた例はユーゴスラビアやイラク、リビアなど最近の武力介入に見られ、政権転覆に利用されてきている。
しかし、現実的には米国による無人機攻撃、ガザ地区へのイスラエルの空爆、EUにおける移民排斥・ヘイトスピーチ、また情報機関の個人情報へのアクセスを可能にさせる法制、中東諸国の国境を越えた過激集団の活動など人権侵害は各国に広がっている。
国連は、憲章にもとづいてその尊厳を守りきることのできない危機に立っている。
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