警察官が拘束の際に黒人男性を死亡させた事件で、警官が刑罰を免れたことに対する抗議デモが全米で起きている。
11月24日には去る8月にミズーリ州ファーガソンで起きた18歳の丸腰の黒人青年を警官が射殺した事件で、白人警察官が不起訴になり、12月4日には7月にニューヨークで起きた事件で黒人男性の首を絞めて殺害した警官がやはり大陪審で不起訴になった。直前の21日にはクリーブランドでおもちゃのピストルを持っていた12歳の少年が警官に射殺され、3日にもアリゾナ州フェニックスでやはり黒人男性が射殺された。
ニューヨークでは連日のデモで300人超が逮捕され、ワシントンでは寝そべってダイ・イン、西海岸のカリフォルニアではデモ隊が道路を封鎖、店のショーウィンドウが壊されたりした。米国独立以前の17世紀から確立されていた「白人優位主義」が21世紀になっても払拭されていない事実が表面化し、米司法制度が問われる事態になっている。
「黒人問題は白人問題」と言われる。白人優位性によって立つ構造的・制度的不正が認識され、すり込まれた意識が克服されない限り、「人種問題」の解決はない。米警察・司法制度は「国外での戦争遂行・国内での社会的不平等」の政治の手段であり、大多数の米国民の雇用・賃金・公的サービス・民主的権利を脅かす国内の格差社会を是認し、抵抗を弾圧する機関である。「警察権力の横暴反対」と「社会の警察国家化」は2つの利害対立の闘いであり、歴史の道程である。
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