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2015.02.10

左翼の後退、右翼の躍動
排外主義が台頭


 フランス、ドイツ、ベルギーなど西欧諸国でその国の国籍をもつ青年、とりわけアラブ諸国、アフリカ出身の移民の子孫が「対テロ戦争」の犠牲になっている。
 仏での出版社・食料品店襲撃事件では容疑者は射殺された。独ではペギダ(「西欧のイスラム化に反対する愛国的欧州人」のドイツ語頭文字)が毎週月曜日、反イスラム・移民排斥デモを組織している。ベルギーでは警察がテロ事件を未然に防ぐとして複数の青年を身柄拘束した。EU諸国は安保優先国家になろうとしている。


 こうした事件の背景に欧州全体の「緊縮財政」による貧困層への直撃がある。さらに移民の子孫たちは差別され、抑圧され、世俗主義の名の下に宗教や民族性を無視された生活(仏では公立学校でのヘジャブ・スカーフの着用禁止など)を強いられ、多数派社会から疎外されている。
 パリ郊外に暮らす移民たちのコミュニティでは失業率は40%に達している。サルコジ政権下では強制送還が横行した。失業青年の不満と怒りは時に暴動となり、あるいは宗教的原理主義に吸収される。左派陣営が健在なら、青年は組織され、社会変革の力として育てられていただろう。
 進歩勢力の不在は右派潮流を浮き上がらせ、欧州議会でも各国議会でも一定数の議席を確保するまでに上昇した。


 EUが金持ちを喜ばせ、貧者を罰する新自由主義的政策をとる限り、経済は停滞、後退する。米・NATOが対外的に好戦的になるほど反撃は自国に降りかかることになる。

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