スイスのローザンヌで3月26日から開かれていたイランと6カ国(国連常任理事国+ドイツ)は8日間の協議の末、枠組み合意に達し、共同声明がモゲリーニEU上級代表とザリーフ・イラン外相によって読み上げられた。これによりイランは国内での平和的核開発の計画が継続可能になり、ナタンズ施設で3・67%ウラン濃縮は続くことになる。
しかし、対イラン制裁(国連決議及び各国制裁策)解除について米・イラン政府の発表した声明文に違いが生じた。イラン側が最終合意事項の「実行後にすべて解除される」と明記したのに対し、米文書は「解除」でなく「停止(制裁復活の可能性がある)」としている。最終合意まで2カ月半ほどあり、この間に認識の違いについて交渉継続されることになる。
米政府は1979年の革命時から対イラン経済・貿易・金融制裁をかけ、95年にはイランと商取引をする第三国の企業にまで制裁枠を広げた。また、06年12月に核兵器開発疑惑から国連が対イラン制裁を決議、その後12年1月にEUが原油禁輸とイラン中央銀行資産を凍結する制裁を課した。13年11月には双方は制裁の一部緩和と引き換えに、ウラン濃縮20%停止、3〜5%濃縮継続の共同行動に合意した。ドイツは1万2 000社以上がイランに進出、主要貿易パートナーである。
今回の合意にイスラエル政府は「歴史的誤り」として激しく非難、この背景でサウジアラビア及び湾岸諸国と組んでイエメン空爆を開始した。
|