9・11以降、いわゆる「テロ戦争」は米欧の侵略戦争を正当化するための敵をつくり続けてきた。アフガニスタンへの戦争は「ビン・ラディン」「タリバン」「アルカイダ」を倒すことであった。
イラクへの戦争は「大量破壊兵器」を持つ「独裁者フセイン」、リビアへの戦争は「独裁者カダフィ」の政権をそれぞれ転覆させることであった。いずれも世俗主義政権を葬り、多国籍企業による天然資源の利権獲得に利することを目的としていた。
シリアの「アサド政権打倒」を掲げ、イラク・シリアで膠着する戦況については国境をまたいで動く、資金と兵器に恵まれた「イスラム国」(IS)が新たな敵として昨年、登場した。ISは各地でさまざまな宗派や民族間に対立を煽り、異教徒を処刑、奴隷として扱い、日本人も含め、米欧出身者の残忍な殺害シーンをメディアで公開するなど、その野蛮な犯罪行為と戦う名目で米主導の対IS有志連合が結成された。
しかし、この組織は当初、米・NATOから兵器システムや物資、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、トルコなど地域の同盟国から資金を供与され、イスラムのイメージに打撃を与え、アラブ諸国民を分断させることを最大の任務としていた。ヘーゲル元米国防長官は「ISの組織は十分な装備と支援を受けている。その脅威は一時的でなく、戦いは長い年月を要する」と述べている。
そして今、イエメンでは空爆正当化の新たな敵として「フーシ派」「アラビア半島のアルカイダ」が現れている。
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