G7サミットは6月8日、首脳宣言で「東シナ海および南シナ海での緊張を懸念」し、「平和的紛争解決」と「自由かつ適法な海洋利用」を強調しつつ、「埋め立てなど現状変更をねらった行動に反対」を表明した。また、8〜12日にニューヨーク国連本部で開かれた第25回国連海洋法条約締約国会議ではフィリピン政府がスプラトリー諸島(中国名・南沙諸島、ベトナム名・チュオンサ)の領有権を主張した。
南シナ海はマレー半島、ボルネオ島、インドシナ半島、フィリピン、台湾に囲まれた海域で、大陸棚では各国が石油・天然ガスを採掘、漁場は豊かだ。シーレーンとしても重要な位置を占めている。
呼称も各国で異なり、中国、台湾、ベトナムが領有権を争う英語名「パラセル諸島」は中国名「西沙諸島」、ベトナム名「ホアンサ」である。この海域では73〜74年に中国軍と当時の南ベトナム共和国軍が衝突、米グリーン・ベレー将校や海軍特殊部隊シールズも中国側の捕虜になった。
以来、中国が実効支配、CIAによれば70年代から中国による道路や建物など施設建設が報告されている。米国はかつて南ベトナムを利用したように現在、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾を巻き込み、対中包囲のアジア太平洋再均衡政策を貫徹、軍事的プレゼンスを正当化している。
ASEAN諸国は「南シナ海行動規範」を通じて交渉による解決を目指しつつも、領海・領空、排他的経済水域を守る船舶・航空機獲得のために米軍産複合体への依存を強めている
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