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2015.09.15
難民の危機
テロ戦争がもたらした欧州の劣化



 中東・アフリカからの難民が洪水のようにEUに流入している。難民は子どもを連れた家族で、リビアなど北アフリカから海路で地中海を渡り、イタリアに入るルート、また陸路でトルコからギリシャ、バルカンの非EU加盟国を通過してハンガリーへ入国するなど毎日1000人単位で押し寄せ、「第二次大戦後最大の難民危機」をつくり出している。


 ユーロトンネル付近にキャンプしている人たちもいる。「日常的に爆弾、暗殺、流血など死に直面する状況」から逃れ、決死の覚悟で安全を求める人たちだ。
 米英・NATOによる内政干渉の軍事介入は公然・非公然の形をとって80年代からアフガニスタンで、91年の湾岸戦争を端緒に今日まで継続、拡大している。これまでの死者の統計はなく、軍事作戦による民間人の直接・間接的犠牲者は推計しかない。「独裁とテロと戦う」「大量破壊兵器」名目の戦争は未だに正当化されている。


 EU28カ国は「移民の最初の到着国で保護申請」をし、亡命希望者を受けいれる規則をもっているが、6月の首脳会議で加盟国の「移民の分担義務化」を断念した。南欧諸国は債務危機を理由に、東欧諸国はウクライナ危機から予想される難民の流入から反対した。
 国境線上の有刺鉄線のフェンス、厳重な入国制限・拒否など対応は各国で異なり、欧州共通の価値観尊重の原則は崩れ、移民は人道の危機に翻弄されている。
 そして石油・ガス資源は戦乱の中、占領勢力、傀儡政権の恣意的運用を可能にしている。


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