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2015.11.03
TPP「大筋合意」
大企業を保護する政治機構



 日米豪など12カ国が10月5日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に「大筋合意」した。つまり、交渉が「秘密」裏で内容を知ることのできる人は大企業顧問及びロビイストのみ、何が具体的に決まったのか不明ということだ。
 しかし、世界貿易の40%を占める環太平洋商取引の新たな条件について、もれ出た情報のみが頼りで隠されているという事実は各国政府よりも大企業が上に立ち、国家主権は二の次、民主主義は「会社化」されたという意味だ。
 現在、世界にはNAFTA (北米自由貿易協定)など複数の「自由貿易協定」があるが、交渉は秘密で行われた。


 オバマ氏は08年選挙戦で「NAFTAを見直す、これ以上の自由貿易協定は締結しない」と公約していたにもかかわらず、政権就任後はパナマ、韓国、EU・中東諸国と自由貿易協定を結び、結局、米労働者は職を失った。今回の合意で米当局は日本からの自動車部品の輸入増大を許可し、東南アジアに米自動車企業の進出を緩和した。米労働者はまた失職する。7日、クリントン元米国務長官は反対を表明した。


 TPPは、ISDS (投資家対国家の紛争解決)で投資家の損害を受入れ国の国内法を超えて当地の政府に賠償を求め、労働法を改定させる。大製薬会社にはジェネリック薬品を阻むため長期の独占権を認め、大種苗会社には特許独占を許す。たばこ会社の利益のために禁煙政策を進める国の国内法改訂も可能だ。
 TPPは政治機構化し、各国議会を凌駕している。


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