11月13日夜、パリで連続襲撃事件が起き、市民多数が犠牲になった。イスラム国(IS=イスラミック・ステート)が犯行声明を出したという。マスメディアはトップで悲しみに暮れる遺族について報道し、トルコで開催中のG20首脳会議は対テロ政策強化を確認、世界各地の仏大使館前には弔問者が訪れた。
オバマ大統領は「全人類に対する攻撃」と述べたが、一方、前日12日にベイルートで起きた爆発事件についてはたいした報道もされなかった。「中東で起きている事件の一つ」という扱いで、日常的に起きているパレスチナ爆撃と同じく冷淡、驚く人は皆無だった。
さらにパリ事件の数時間後に起きたドーバー海峡に面した港町カレーの難民キャンプ「ジャングル」の大火災(死者数不明)についても商業メディアは報道せず、人命に関わる悲劇に序列をつけている。結局、進行中の米欧主導戦争の現状固定化、移民排斥に向かって世論を誘導することになった。
その後、16日には仏空軍がシリア北部のラッカを空爆、難民・移民の仏入国が厳格化された。仏国防省発表によれば、「脅威の程度が変わったゆえに国軍の使用戦略を変更する」とし、治安維持のためパリ市内に5000人の兵士を展開、仏は国内外で軍事化を進めている。
そして、パリ市民は1月のシャルリーエブド事件以来、兵士と共存の生活に慣れ始めてきている。また、極右勢力が台頭し、難民収容施設が襲撃されたり、移民と治安当局が衝突したりしている。
|