ギリシャのツィプラス急進左派連合(SYRIZA)政権は15年1月に政権に就くと野党時代の港湾施設民営化反対から賛成へと方針転換した。12日、中国国有の海運大手COSCO
(中国遠洋運輸公司)1社のみがピレウス港の株式売却に応札、港の権益の67%を7億ユーロで購入することが明らかになった。今後、ギリシャ当局が審査し、正式決定する。
COSCOは08年にコンテナ埠頭の35年間リース契約を締結、埠頭の拡張工事を行い、13年にはギリシャ国営鉄道と協力して貨物線を開通。これにより、中東欧各地への陸上輸送が強化された。
さらに中国だけでなく、シンガポール、マレーシアなど東南アジアからの海上輸送も増え、国際海上物流に変化が生じる可能性がある。中国政府にとっては「一帯一路」構想の配送拠点となる。
ピレウス港はギリシャ最大の港で国営会社が運営しており、コンテナ・ターミナル、貨物ターミナル、自動車ターミナルをもち、年間2000万人の利用客をさばく欧州最大の乗客用ターミナルを併せ持つ。首都アテネから南西約15キロに位置しており、海運の中心地として紀元前時代からの歴史がある。
ギリシャは財政再建中で、債務返済のため欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)という「トロイカ」から緊縮財政策を迫られており、昨年3回目の「合意書」を受け入れた。今後、国内14カ所の空港運営権、天然ガス供給網、ホテル、不動産などの国有資産を売却する計画である。
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