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2016.02.02
弱まるEUの結束
自国の法を優先



 昨年10月、ポーランドで保守強硬派の「法と正義党」が上下両院で単独過半数を獲得、親EU路線の「市民プラットフォーム」政権を交代させた。前政権は新自由主義路線をとり、格差を拡大、「勝ち組の擁護者」と批判された。
 新政権は難民受け入れには明確に反対、ドイツのEU支配に対して強い抵抗感を持ち、ユーロ圏加盟にも反対である。難民問題についてはハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチアもEUとしての法よりも自国の法を優先させており、欧州全体として右傾化、民族主義的傾向が強まっている。


 ポーランドではすでにウクライナからの移民が公的統計で40万人(15年5月現在)だが、実際には100万人と推定されている。また1月初めに、EU規則に反する公共放送の人事権を政府が管理できる新法が制定され、欧州委員会が罰則を検討しようとしている。
 英国のEUからの離脱可能性、ウクライナ問題に関連したロシアに対する共通の制裁措置など経済・財政政策もEU各国間に亀裂を生じさせている。


 難民・移民流入はメルケル独政権をも揺るがしている。与党キリスト教民主同盟は受け入れ許可政策をとってきたが、難民収容所が相次いで襲撃され、大晦日にケルン市で女性への集団暴行事件が起きるなどで政権内部からも批判が噴出、支持率は13年選挙以来最低水準の32・5%に落ちている。
 3月のEU首脳会議では難民に関するダブリン協定・シェンゲン協定が議題になる。今年、独は4州で議会選挙がある。
 

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