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2016.04.19
利害対立が拡大する南シナ海
EUも進出強める



 石油・ガスなどの天然資源を埋蔵し、豊かな漁場と重要な貿易航路(年間5兆ドル超)となっている南シナ海における軍事力と経済力を背景にした利権追求の争奪戦に、欧州連合(EU)も加わることになった。
 現在、この地域には対立回避のためにASEANと中国の間に「行動宣言(02年)」がある。国境未確定海域で中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾、ブルネイが領有権を巡って緊張関係を続けており、ここに米・日が介入、5月の伊勢志摩サミット(G7)でも協議する。中国の王毅外相は8日、訪中したシュタインマイヤー独外相との記者会見で「領土主権の争い問題を取り上げるべきでない」と表明した。


 南沙(スプラトリー)諸島海域は、昨年10月に米ミサイル駆逐艦ラッセンが「航行の自由作戦」を実施、中国は領海を侵犯する挑発行為に対抗する立場を表明した。
 また、ベトナムと中国は漁船の操業を巡り衝突しており、7日にはベトナム政府が「境界の定まっていない海域に中国が石油掘削装置を移動させた」、「スビ礁に灯台を設置した」と抗議、中国政府側は「争いのない海域」「航行の自由を守るためのもの」と応じた。
 フィリピンは国際仲裁裁判所(ハーグ)に訴訟を起こすなど問題を国際化させており、また同国には今月下旬に中谷元防衛相が訪問予定である。


 EU諸国は対中貿易に依存しつつも米アジア回帰戦略に乗り、「南シナ海は争点」として地政学的視点から自らの利益を求めて関与を強めている。


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