40年も戦争の続くアフガニスタンでは人口の10%超が難民になった。シリアで戦争が激化する前は同国出身の難民が世界全体でもっとも多かった。グローバル市場経済に組み込もうとした米NATO諸国の試みは失敗、経済はほぼ壊滅状態、外国支援に依存している。結果、政権は傀儡、汚職にまみれ、国民は著しい社会格差に苦しんでいる。
こうした中で数カ月前から街中で、またソーシャルメディアで「ドイツに来るな」キャンペーンが行われている。2月末までに125人のアフガン人がドイツ政府から送還された。「安全な地がある」という理由である。一方で、独仏英軍は同国に駐留、戦争犯罪を犯し、情勢を悪化させている。
4月16日にはローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が東方正教会のコンスタンチノープル総主教、ギリシャ正教会のアテネ大主教とともに、数千人の難民が暮らすレスボス島(ギリシャ)のキャンプを慰問した。法王は帰国の機内記者会見で「壁を築くことは解決策にならない」と述べた。
3月17〜18日の欧州連合・トルコ首脳会議で、トルコが「ギリシャに密航したすべての移民と難民を受け入れる」と基本的に合意。トルコはEUから最大670億ドルの援助、ビザなし渡航、EU加盟の早期協議の条件を得た。
しかし、トルコではクルド人との軍事衝突が激化し、政情は不安定、送り返された難民が第三国に定住できる保障もない。人権団体や国連は批判的で実効性は見えず、短期間で失敗の恐れが指摘されている。
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