1916年5月16日のサイクス・ピコ条約から100年がたった。サイクスは英国の中東専門家マーク・サイクス、ピコは仏外交官フランソワ・ジョルジュ・ピコのことである。
この日、英仏露は秘密裏にオスマントルコを人工的に分割。現在のイラク、ヨルダン領土は英、シリア、レバノンは仏、黒海沿岸を露の勢力範囲と決めた。翌年の大十月革命勝利でボリシェビキが密約本文を暴露、英が前年にアラブ国家独立を約束したフサイン・マクマホン条約の反故が判明した。
この地域は多様な宗派と文化をもつ多数の民族が暮らしている。また英国は17年11月、パレスチナでのユダヤ人居住地を約束、「バルフォア宣言(書簡)」を発表しシオニズムを支持した。第一次大戦が終結、オスマントルコは解体して現在のトルコ共和国となった。
地域の油田の存在は親欧「傀儡王制」を出現させ、諸国民は外国勢力と国内封建勢力が生み出す矛盾と闘う歴史の嵐の中に投げ込まれた。今年は1948年のイスラエル建国から68年、パレスチナ人は今も占領下に暮らし、爆撃や銃撃で日常的に死亡者を出し、18歳以下の子どもまでイスラエルの治安部隊に拘束されている状況だ。
イラクでは91年湾岸戦争、03年イラク戦争以来、混乱収束の展望は見えない。5月17日、首都バグダッドで77人超死亡、百数十人が負傷する自動車爆弾による一連の攻撃が発生、同日シリアでは反政府勢力の内紛で50人超の死亡が報道された。
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