G7伊勢志摩首脳会議後、オバマ大統領は広島市を訪問、「核兵器廃絶」を表明したが、事実は逆である。アジアでは韓国にTHAAD(終末高高度防衛)システム配備を計画しており、欧州ではNATOとともにルーマニア(デベセル基地)及びポーランド(レジコヴォ基地)に地上配備型イージスミサイル防衛施設を建設中である。6月にはハワイで日米韓ミサイル防衛訓練が行われる。
今年は「パロマレス米軍機墜落事故」から50周年。66年1月、水爆4個を搭載したB52爆撃機がスペイン南東部の農漁村パロマレス上空1万メートルで給油の際、空中給油機と衝突、墜落した。
B52は核先制攻撃能力維持のための通常任務中であった。4個のうち2個は海底と河岸で回収されたが、2個は地上に落下した衝撃で起爆装置が爆発、プルトニウムが飛散した。事故時、スペインはフランコ独裁政権下、また53年マドリッド協定により米国とは不平等関係にあり、住民と環境への被害調査は限定的なものであった。
90年代、土壌検査で高濃度の放射能が検出され、03年にスペイン政府は汚染地帯を収用、立ち入り禁止区域にした。ケリー米国務長官が除染協定に調印したのは昨年10月である。
しかも、同時にモロン基地の米海兵隊増強、ロタ基地を地中海最大規模にする交渉を行った。米国防総省によれば50年代からの核兵器事故は世界で30数件に上っている。
「北朝鮮の核・ミサイル」非難は米主導G7の核先制攻撃維持の口実に過ぎない。
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