アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)が6月3日から5日までシンガポールで開かれた。これは主催が英・国際戦略研究所(IISS)、「主要国」の軍事産業大手が後援する年次会合で地域の国防相・専門家などとともに米欧の軍関係者が多数参加してきている。
今年は15回目で日本からは中谷元防衛大臣が出席、各国国防大臣らと二国間また三国間個別会談を行った。「中国の脅威」「北朝鮮の核問題」「グローバル・テロ」が主要テーマでアジア地域の真の安定という目的より、米国のハード(軍事)およびソフト(世論)の両パワーを通じて米戦略を正当化するもので、非協力国をけん制している。
米国は域外国であるにもかかわらず、昨年10月から南シナ海にイージス駆逐艦、原子力空母ステニスを派遣して「航行の自由作戦」を実施し、フィリピンのクラーク基地にはA10攻撃機を配備、シンガポールには対潜哨戒機を派遣している。さらにベトナムのカムラン湾の使用を求めている。
マイケル・ファロン英国防相は「飛行機が飛び、船が航行すれば貿易が栄え、地域が繁栄する」と述べ、シンガポール・ブルネイに軍事訓練施設を増設し、フィリピン・ビルマの平和プロセスに関与し、地域における英国のプレゼンスを高めると発言した。
2017年にはベトナムのダナンでAPEC(アジア太平洋経済協力)閣僚会議が予定されており、世界貿易量の5割、世界人口の4割を占めるアジア地域への各国の関与は深まっている。
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