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2016.06.28
米・仏・英の殺人事件
テロ事件ではすまない



 米フロリダ州オーランドでは100人以上が死傷する銃乱射事件、仏ではパリ郊外で深夜、容疑者が警官宅に押し入り、2人を刺殺する事件が起きた。英では労働党の41歳の女性下院議員が支持者との会合の後、白昼に銃撃、刃物でも刺されて殺害された。
 それぞれ6月12日未明、13日深夜、16日午後1時頃。事件は、米では11月の大統領選挙、仏では昨年以来の非常事態の再延長とサッカー欧州選手権開催中、英ではEU残留か離脱を問う国民投票を間近に控えた社会条件の中で起き、有権者に恐怖心を与えた。
 各国警察当局は容疑者とされる人物の背後関係を、IS(ジハードを信奉するイスラム教徒)、性的指向、攻撃用ライフルの使用、標的リストの所持、銃の不法所持、極右思想との関連などから捜査している。しかし、事件は「テロ行為」と呼ぶ以上に深刻な衝撃を社会に与えている。また容疑者が一匹オオカミ的に行動したのか、あるいは精神疾患を患っていたのか、憎悪(ヘイト)に根ざしたものなのかに関わらず、今後、公権力は国内の一般市民の行動をより厳格に監視し、警察国家化を進めることになる。
 テロ事件が政治化され、緊急事態となり、市民的自由と人権の制限を正当化しやすくなった。
 米国は「移民の国」、欧州は「インクルージョン(受容)と多文化主義の国」であった。しかし、今日、米欧は中東・アフリカ諸国民に戦争を強行、比例して自国に排外主義が浸透、反移民・統合拒絶の極右組織を台頭させてきた。

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