7月15日深夜から16日早朝にかけてトルコでクーデター未遂事件が発生、数時間後に鎮圧されたが、290人以上が死亡し、負傷者は1400人に上った。
非常事態宣言下で政府は軍人・警察官・裁判官・検察官、教員、法務省・財務省職員、知事など6万人以上を拘束または停職処分にし、300万人以上の公務員は海外渡航禁止、ラジオ・TV局は24局が放送免許を剥奪された。数百校が学校資格を取り上げられ、閉鎖された。
政治活動家が行方不明になっていることから「反乱と無関係の人まで連行されている」と懸念が拡がっている。一部軍人の反乱が失敗したわけだが、現政権をいっそう強権的にさせる結果を生み、国民も深く分断させられた。
与党の公正発展党(AKP)は02年以来単独政権を維持していたが、15年6月総選挙でクルド人の野党国民民主党(HDP)が躍進、AKPは単独政権の維持ができなくなった。11月にやり直し選挙を行い再び過半数を確保した。
一方、南東部ではクルド人組織と交戦中であり、隣国シリアのアサド政権に対してはNATO同盟国として軍事介入。建国の原則である世俗主義が現政権によってイスラム回帰へと動く中で政権に対する軍内部の反発も強い。
国民にとってクーデターは新しいことではなく、最近の経済成長率が貧困や失業、搾取的労働条件を解決することもない。対米・対欧関係に多少変化はあっても軍事同盟関係は維持され、中東の戦争状態はいっそう不安定化する。
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