英議会下院(定数650)は7月18日、核抑止力更新について賛成472、反対117の採決で承認した。潜水艦発射型弾道ミサイル「トライデント」を搭載する原子力潜水艦4隻が新たに建造される。政府は今後20年間に310億ポンドの経費を見積もっている。 野党労働党コービン党首は反対票を投じたが、同党議員の6割が賛成した。第3党のスコットランド国民党(54議席)は反対した。同地方の西岸ファスレーン海軍基地が原子力潜水艦の母港で、地域では核武装反対の抗議行動が継続されている。
6月23日のEU離脱を決めた国民投票後に辞任したキャメロン元首相の後任、保守党新政権テレサ・メイ首相は就任(7月13日)後の議会演説で「核兵器使用」をためらわずに明言した。同氏はこれまでイラク戦争賛成、アフガニスタンへの英兵増派賛成、リビア破壊賛成、シリア空爆賛成の立場を経過してきており、前政権では6年間内相を務めた。
英核抑止力は「トライデント」システムに依拠しており、米国依存である。潜水艦と弾頭は英国で製造されるが、ミサイルの製造及びメンテナンスは米国によって行われ、発射など運用上のソフトウェアは米国が管理している。 一方、ドローンなど海中の潜水艦探知技術は日々向上し、30年代の新潜水艦就役時に存在理由が空洞化するとも言われている。
スコットランドでは住民の大多数が計画反対、英国からの独立を求める国民投票の実施に勢いが増す情勢だ。
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