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2016.08.23
東南アジアに拡がるテロ
背後に国際的力関係か



 8月12日の王妃誕生日の祝日を前後して、タイ中部、南部の王室の保養地やリゾート地で相次いで爆弾事件や火災が起き、死傷者を出した。負傷者には外国人観光客も含まれた。警察当局は一連の爆発を同一組織による犯行との見方を示し、7日に国民投票で新憲法草案が賛成多数で承認されたことから政治的動機もあるとして捜査している。爆弾テロ事件は昨年8月にも首都バンコクの繁華街で起きており、経済の重要な柱である観光産業は再び揺るがされた。
 タイは東南アジア6億人の市場の中心国であり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の重要国。14年5月の軍事クーデターで政権についた現政府は中国との関係を強めており、米企業が後退しつつある中で中国企業が進出、投資額は日本・米・シンガポールに続く規模になっている。日・印企業がベトナムからミャンマーに到達するハイウェー・鉄道建設計画を進める一方、中国政府は「一帯一路」構想で南西部雲南省からシンガポールまで延びる鉄道を計画しており、資本競争は熾烈である。
 タイは民族・宗教が多様な国。北部は山岳民族、東部はクメール系、南部はマレー系のイスラム教徒住民である。タクシン政権以来、ポピュリズムと汚職、「赤シャツ」隊と「黄シャツ」隊の街頭行動、反政府デモ隊と治安部隊の衝突、二度の軍事クーデターを経て今日に至っており、政情不安は続きそうだ。

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