ラオスの首都ビエンチャンで9月6日から8日までASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議が開催され、安倍首相が出席した。日本政府は、会議を南シナ海での中国の動きを締め付ける決戦の舞台と見なしてASEAN加盟国の切り崩しを図ったが、議長声明では7月のハーグ国際仲裁裁判所決定は提起されず、「法の支配」の尊重を訴える内容で採択され、閉幕した。
商業新聞は一連の会議が「中国ペースで進んだ背景にフィリピン政府の沈黙があった」、「ASEANは米中の板ばさみ」と報道した。すでに4?5日の日程で開かれた中国・杭州市でのG20首脳会議でオバマ大統領は対中対決姿勢を強調しなかったが、アジア回帰の米戦略は停滞している。
6月に就任したフィリピンの新大統領について、商業メディアは当初から「人権侵害」「暴言」「懲りない対米批判」など個人の資質を攻撃してきているが、ドゥテルテ氏が100年前からの米国の植民地支配を告発し、公約通り「独立したフィリピン外交」を進めようとしている背景がある。 出身地である南部ミンダナオ島はスールー海を挟んでマレーシアのサバ・サラワク州、カリマンタン島と接し、インドネシア現代史と密接に関連してきた。
氏は1965年、スカルノ政権を倒した米CIAとUSAID(米国際開発庁)関与の「9・30政変」、大虐殺を身近に経験した住民の声の代弁者でもある。メディアと実力行使による攻撃と国際関係の緊張は今後も続く。
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