強力な熱帯低気圧の出現数が地球温暖化にともなって増加する傾向があることは、気象庁によっても指摘されている。今年の台風10号とハリケーン「マシュー」は北東アジアとカリブ海・米南東部に多くの犠牲者を出した。
そうした中、10月10日から15日までルワンダの首都キガリで「モントリオール議定書」の締約国会議が開かれ、強力な温室効果がある代替フロン(HFC)の生産規制で合意した。先進国は2036年までに11〜13年平均の85%、途上国は45年までに80%生産・使用を削減するというものだ。当議定書はオゾン層破壊を止める国際的枠組みであったが、今回の改正で温暖化ガスも追加された。
フロンは人類が20世紀に発明した、自然界に存在しない人工物質で冷蔵庫・空調の冷媒、断熱材、半導体の洗浄剤、噴射剤(エアゾール)などに大量に使われてきたが、オゾン層破壊物質であり、95年末に生産中止が義務付けられた。それにより「代替フロン」に切り替えられた。
しかし、代替フロンは二酸化炭素の数万倍の温室効果があり、地球温暖化の原因になるとして京都議定書で排出削減対象ガスに指定され、モントリオール議定書でも改正が論議されてきた。14年度の日本の排出量は3580万トン、10年前の3倍増である。
各国政府は表向き「環境を守る」と言い、経済的利害を優先し、各企業は「環境配慮型」として新製品開発で競争を激化させている。「低温室効果冷媒」への転換が新たな気候変動要因になるかもしれない。
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