1956年10月19日、鳩山一郎首相(当時)の率いる政府代表団はモスクワで「日ソ共同宣言」に調印、日本とソ連邦は戦争状態を終了させ、外交関係を回復、日本は国連加盟を実現した。10月19日、宣言は60年を迎えた。
しかし、「平和条約がない異常な状況が続いており、早期解決の必要がある(杉山晋輔外務事務次官)」状態にある上に日露双方に見解の隔たりがある。
「宣言」の第9項は「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ考慮して、歯舞群島および色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」(外務省資料)となっている。
プーチン政権は「宣言」を土台にして平和条約を締結する立場である一方、日本政府は「四島の帰属を解決して平和条約を締結するという、北方領土問題に関する基本的な立場は変わらない」(川村泰久外務省報道官)と主張しており、冷戦時代に日ソ善隣外交を妨げようとした米政府の関与の残滓を今も維持している。
安倍首相はプーチン大統領と、5月のソチ、9月のウラジオストク、11月のAPEC、12月予定の訪日と首脳会談を重ねている。問題は領土を越え、豊かな漁場・海底資源という経済水域、深い水深、凍らない海という軍事的重要性、さらにシベリア鉄道の延伸・高速化構想など経済プロジェクトと絡んで財界の視線が集まっている。
|