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2016.12.20
グアム島民の声
「基地からのトリクルダウンはない」



 
 次期中期防衛力整備計画(2019〜23)で導入が有力視されているサード(THAAD=終末高高度防衛ミサイル)視察目的の稲田朋美防衛相のグアム訪問が、延期になった。島の面積の3分の1が軍用地、主要産業が基地と観光業、毎年訪れる観光客は100万人以上、その9割超は日本人だ。

 グアム島はマリアナ諸島の1つの島で、人口は16万人、先住民はチャモロ人である。オセアニア地域のミクロネシアと呼ばれる地域だ。古代遺跡から、カヌーによって航海してきた東南アジア系の人々の子孫と考えられている。外界から大規模侵攻を受けたのは1521年のスペイン、その後、1898年の米西戦争によって米国の植民地になり、今日に至っている。独自の言語、文化、祖霊崇拝、漁法、薬草などの医学的知識を保持している。伝統的習慣を禁止した支配者に対する抵抗闘争で、これまでの数百年間に虐殺事件は何度も起きてきた。

 在日米軍再編によって沖縄から海兵隊が移駐するにあたり、部隊受け入れのために伝統ある村々が実弾射撃場に変えられ、パラオまで延びるマリアナ海域には、MIRC=複合射爆場とMITT=訓練・試射場が建設されてきている。米国は海域支配により、大水深の海溝に眠る資源探索をも進めている。
 同時に日本の有人潜水調査船「しんかい」、中国の有人潜水艇「蛟竜号」もこの地域で大洋資源・深海科学調査を進めている。島民に恩恵はない。水不足、さんご礁破壊による環境変化で生活は圧迫され続けている。

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