01年から、オーストラリア政府は船舶で同国に到着した難民および難民申請者はナウル共和国およびパプアニューギニア(PNG)のマヌス島にある難民収容所(オフショア施設)に送り、航空機で到着した難民は送らない方針をとってきている。2島は熱帯雨林気候で周囲に島がなく、孤立しており、いずれの収容所も国連・人権団体から、子どもへの虐待・病気の放置・性的暴力・拷問などで批判の的になっている。
☆ ナウルはさんご礁の島で英連邦加盟国、面積21平方キロの小国で人口1万人、主要生産物のリン鉱石は枯渇し、産業はない。01年にアフガニスタン難民受け入れを条件に豪から援助を受けている。マヌス島収容所については昨年4月、PNG最高裁判所が「不法・憲法違反」で閉鎖を命じているが、豪政府はスペインの民間業者との契約で現在も維持し続けている。また豪政府は難民に現金を支給し、自発的に母国に帰国し、保護を求めないよう要請または脅迫している。豪国境軍(ABF)が1人当たり2万ドルの支給額を不正利用しているとの告発もある。
☆ こうした状況下で国際的な人権団体が2月13日、国際刑事裁判所(ICC)に「豪政府および私企業の難民申請者に対する実態報告書」を提出、ICCに調査を要求、難民保護を陳情した。またシドニーの市民団体「難民行動連合(RAC)」など豪各地の市民組織は政府に対して難民の権利を訴え、強制送還に反対し、すべての難民を本土に受け入れるべきだと活動している。
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