東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の事務レベル交渉会合が2月27日に神戸市で始まり、3月3日まで開催された。RCEPは東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に日・中・韓・インド・豪など16カ国が参加する自由貿易を基礎にした経済連携協定(EPA)で、米国がTPPから離脱した今、新たな視点から注目されている。 一方、中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)は2015年6月、21世紀の多国間の金融・投資・インフラ開発を進める目的で設立されたが、これまで世界銀行(WB)などが無視してきた地域の救済も視野に入れて、欧州・アフリカまでも見通している。
現在、AIIBには57カ国が参加、資本金は1000万米ドル、半分が中国の出資でロシア・ドイツ・韓国も大株主である。すでに9件のインフラ計画に17・3億ドルが計上され、アゼルバイジャンのガス・パイプライン、パキスタンの道路建設、バングラデシュのエネルギー輸送路整備、タジキスタンでは国境道路改良などが行われている。 AIIBは経済規模が世界一位と二位の米中が競う枠組みで現れているが、ブレトンウッズ体制の上に成立したIMF/世銀体制によって発展を阻まれてきた途上国にとっては「代替的」金融制度となっている。
また中国が進める海と陸のシルクロード「一帯一路」経済圏構想、ロシアの進める「ユーラシア経済同盟(EEU)」、中露経済協力も控えており、旧来の国際機構を凌駕する勢いを有している。
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