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2017.11.28
サウジアラビア
汚職対策という名の権力奪取



 サルマン国王の実子、ムハンマド皇太子が主導する「汚職対策委員会」が収賄や横領など違法行為を捜査、11月4日から200人以上の王族や現職閣僚が一斉拘束された。数十年にわたる汚職で1000億ドル(11兆3400億円)が流用されたとされ、皇太子は官僚主義を清算して社会を近代化する方針である。サウジアラビアでの動きは日本の株式市場にも波及している。
 しかし、ムハンマド皇太子が「テヘランを攻撃する」などイランに対抗する言辞を繰り返していること、またサウジアラビア軍による隣国イエメンへの軍事介入、米・NATOとの緊密な協力関係、イスラエルとの隠された同盟的関係という観点から見れば、中東情勢はいっそう不安定化すると予想される。サウジはオイルマネーを使って傭兵を集め、今もテロ活動を続けており、シリア、イラクでは敗北、後退しているが、そのワッハービ主義イスラムの宗教観を伝播するための文化・教育活動は政治化している。
 かつて同盟関係にあったカタールとはさる6月に外交断絶、「流血を伴わない宣戦布告」状態にあり、一方のカタールは生鮮食品や日常物資の不足を補うためイランに接近している。


 絶対君主制による国内統治の基盤は弱い。王族が贅沢と放蕩の限りを尽くす一方で圧倒的多数の国民は部族主義によって縛られ、国の経済を支える外国人移住労働者はだまされ、残酷に搾取されている。財政赤字も深刻で公共部門の支出は削減され、職のない青年層は将来への不安を抱えている。


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