新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 世界の動き
  4. 2017.12.26
2017.12.26
2つの港
南アジアにシフトした覇権争い



 パキスタン南西部のグワダル港とイラン南東部のチャバハル港は100キロメートルの距離しか離れていない。前者は中国企業が、後者はインド企業が支援して港湾拡張工事を進行中、ともに水深のある良港である。
 アラビア海に面したグワダル港からはカラコルム・ハイウェイが3000キロ延び、パキスタン東部から中国カシュガルまでつなぎ、さらにガス・石油資源の豊かな中央アジア諸国にも通じている。鉄道もカザフスタンのアルマトイとウルムチ間が開通している。中国にとっては、マラッカ海峡を通過せずに中東から石油輸入ができるルートだ。両国の「中パ経済回廊(CPEC)」構想と、「一帯一路」計画の一環である。
 チャバハル港はオマーン湾に面し、紀元前時代からの商業港の歴史を持つ。古代ギリシャの文献にも見え、大航海時代にポルトガルが、その後英国が占領したこともあった。現在は「自由貿易地域」に指定され、空・海・陸の交通網が整備され、アフガニスタンのバーミヤン地方にも鉄道が延びている。
 16年1月に対イラン制裁が解除されると、インドのモディ首相は早速、5億ドル金融支援協定を結んだ。11月にはチャバハル港からインド産小麦を積んだトラックがアフガニスタンに向かった。インド、イラン、アフガンの協力関係は進展中だ。12月3日、ロウハニ大統領が同港の拡張工事起工式に出席、17 カ国の参列者とともに盛大に祝った。
 一方、トランプ米政権はイランとの「核合意」を見直し、制裁に逆戻りしようとしている。




 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ