2月6日、都内で日ロ外務次官級協議が行われ、サハリン・北海道間のビザ免除導入についても協議、海産物養殖、温室野菜栽培、観光ツアーなどで事業の実施に向けて一致した。ロシアからはモルグロフ外務次官が代表団を率いた。また7日は日本政府が決めた「北方領土の日」であった。安倍首相は「日本とロシアの間に平和条約がないのは異常だ」、また共同経済活動について「プロジェクトを具体化する作業を急ぐ」と表明した。
日本で「北方領土」は歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島の4島を指しているが、ロシア側の呼称は南クリル諸島、プーチン政権以降、経済開発が進み、島民数も増え始めている。メドベージェフ大統領(当時)も訪問、ラブロフ外相は「中・韓の投資を歓迎する」と述べている。
日ロ双方の交渉への立場は離れている。ロシア側はこの地域を
(1)第二次大戦の正当な結果(=ヤルタ会談・ポツダム宣言)、
(2)オホーツク海をめぐる安保上の戦略的重要地域と認識しており、日本との平和条約締結後に2島を譲渡する、日米安保の廃棄・外国軍の撤退を条件としている。トランプ政権が2月2日に、「核態勢見直し(NPR)」を公表し、核戦力強化を鮮明にしたことで情勢はまた動く。
この地域は天然資源が豊かだ。石油、天然ガス、レニウムに加え、水産資源に恵まれている。カムチャツカ半島に至る千島列島一帯はクリリスキー自然保護区として禁猟、禁漁措置がとられ、豊かな自然環境が維持されている。
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