河野太郎外相が2月10〜12日の日程でブルネイとシンガポールを訪問した。「北朝鮮への圧力」と「自由で開かれたインド太平洋戦略」への協力を要請する訪問であった。外相はブルネイで海上自衛隊部隊を激励し、「航行の自由、法の支配、質の高いインフラ」を強調した。外務貿易相との会談では「自由で開かれたインド太平洋戦略」へ協力を求めた。
1月、ターンブル豪首相が来日、「北朝鮮への圧力」と「自衛隊・豪軍合同演習」について安倍首相と合意、自衛隊が豪州に、また豪軍が日本に往来した際の法的取り扱いについての「訪問部隊地位協定(VFA)」について交渉した。また昨年11月のベトナム・ダナンでのアジア太平洋協力会議(APEC)の会合でトランプ大統領も「インド太平洋地域に関与」を改めて示し、中国の海洋進出を念頭に法の支配・個人の権利・航行/上空通過を強調した。
この戦略は、16年8月に安倍首相がケニアで開かれたアフリカ開発会議(TICAD)で表明、アジアとアフリカの連結性向上を訴えたものである。安倍首相はすでに07年にインド国会で「二つの海の交わり」と題して演説しており、その後、モディ印首相との会談で政権の取り組む「東アジア重視政策――アクト・イースト」と結合させることで一致した。両国関係は中国の「一帯一路」構想への対抗を軸に動いている。
昨年12月の閣議決定では「インド太平洋戦略」具体化への関連費用として約300億円が盛り込まれた。
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