文在寅韓国大統領の特使は、3月5日に平壌で金正恩朝鮮労働党委員長と4月末に南北首脳会談開催で合意。さらに8日にはトランプ米大統領とワシントンで会談し、5月末までに米朝首脳会談を行うことで合意した。朝鮮半島の緊張緩和と非核化に向け大きな一歩が踏み出された。
この流れ推し進めて 3・5会談では、@第3回南北首脳会談の板門店での4月開催A北は朝鮮半島非核化の意志を示し、体制の安全が保障されれば核保有しないB北は米国と対話の用意があるC対話が持続する限り北は核実験など挑発はしないことを確認した。また、金委員長はトランプ大統領との会談希望のメッセージを韓国特使に託した。3・5確認とメッセージは、8日に訪米した韓国の特使がトランプ大統領に伝え、トランプ氏は即断したという。
南北首脳会談は17年前に金大中大統領が訪朝し南北融和へ踏み出し、盧武鉉大統領が引き継いだが、その後、韓国の保守政権の継続やイラク戦争などで頓挫していた。
南北首脳対話復活の意義は大きく、朝米首脳会談は初めてで、戦争を危惧していた中露はもとより欧州各国など世界中が歓迎し期待している。予断は許されないが、この流れを進めるほかない。
9条巡る環境も激変
この事態に主要国では唯一安倍政権だけが苦虫顔で、南北首脳会談にすら「対話のための対話は意味がない。最大限の圧力を」(菅義偉官房長官)と牽制する。南北・朝米会談が成功すれば、9条改憲が阻まれるからだ。昨秋の総選挙で「北の脅威は国難」と扇動し、米国から高額な武器を購入して軍拡予算を組み、Jアラートで「脅威」を国民に擦りこんできた。これらが無駄になると安倍晋三首相は4月に訪米、トランプ氏に「慎重対応」を求めるという。
韓国の努力に冷や水
日本のメディアは安倍政権の意向を忖度し、「圧力で北は折れた」「過去の経過から北は信用できない」と韓国の努力に冷や水を浴びせる。しかし、文大統領は圧力に屈せず対話実現をめざした。米国は「北の核放棄」を対話の絶対条件と文政権に強い、「小型核兵器」開発という挑発まで「北」に突き付けた。 安倍首相は、「米韓軍事演習実施を」と内政干渉して緊張を持続させようとした。これに文氏が屈したら事態は悪化していた。
NPT脱退や、その後の6カ国協議などの枠組みは「北」の核開発に起因と報じてきたが、米軍によるイラクのフセイン体制崩壊が、「北」に与えた衝撃には触れない。
「安全と感じるまでは北は草の根を食べても核開発する」(プーチン露大統領)状況を反転させたのが、文政権の努力だ。「朝鮮の非核化」は「北」の核放棄だけでなく、少なくとも米軍の核戦略爆撃機や原子力空母の撤退でもなければならない。
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